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守口警察署誤認逮捕事件国賠訴訟-原告のコメント:ずさん捜査が明らかにした冤罪の構図と取調べ可視化の必要性

  • 執筆者の写真: 弁護士秋田真志
    弁護士秋田真志
  • 7月24日
  • 読了時間: 5分

更新日:7月25日

 本日(2025年7月24日)、2023年4月に発生した守口警察によるなりすまし脅迫等事件の誤認逮捕について、冤罪被害者の代理人(弁護士森島正彦、秋田真志、拝地旦展)として、大阪府、国、脅迫の真犯人等を被告とする損害賠償訴訟を、大阪地裁に対し提起しました。

 本件は、ある女性から交際の継続を断られた真犯人が、女性とのよりを戻すために、当該女性の元交際相手であった原告になりすまし、当該女性をメール等で脅迫し、リベンジポルノ的な画像を送りつけるなどしたという事件です。守口警察署や大阪地検検察官は、犯人は原告だと思うとの供述のみを頼りに、本来行うべき発信元の裏付けもないままに、原告を2回にわたり逮捕・勾留し、その結果、42日間にわたり身体拘束を続けました。その間に警察官、検察官は、原告を犯人だと決めつけ、アリバイを含む原告の言い分には全く耳を貸さず、原告を精神的に追い詰める取調べを続けました。かつてPC遠隔操作事件で警察は、誤認逮捕、冤罪を作り出す失態を犯していましたが、同じ過ちが繰り返されたのです。

 そのようなずさんな捜査の結果、身体拘束を受けたというだけでなく、原告は、社会生活上も精神的・経済的に深刻な打撃を受けました。後に、真犯人が判明し、警察署や検察庁は、原告に対し、形ばかりの謝罪をしましたが、誤認の原因やその反省、再発防止の取組みなどについて、原告が納得するような説明は得られず、検察庁に至っては、「システムエラーだ」と開き直りとも取れるような姿勢を示していました。また、警察は、取調べの可視化の対象事件でなかったこともあり、違法取調べを否定して、やはり開き直りの姿勢を示しています。また、捜査のずさんさは明らかであったにもかかわらず、捜査機関の主張を鵜呑みする形で、期限一杯の勾留延長を含む身体拘束を認め続けた裁判官の姿勢もきわめて問題です。

 原告男性が本日の提訴に当たって発表したコメントは、これらの問題を的確に指摘していますので、その全文を引用します。


【原告コメント】

 今回の裁判で誤認逮捕に⾄った経緯を明らかにし、⾃分のようなずさんな捜査による誤認逮捕が⼆度と起きないようにしてほしい。

 私は被害者に対して恐喝はもちろんのほか、リベンジポルノを疑われるような写真撮影も⼀切していません。

 今回の逮捕の原因となった写真も合成写真か真犯⼈が撮影したものかの説明も今も受けていません。

 にもかかわらず、警察や検察、裁判官はもちろん、逮捕されたことを知った⾃分の周りの⼈、報道を⾒た⼀部の⼈からも疑われました。

 新たな犯⾏や証拠隠ぺいを疑われ、勾留された期間だけでなく処分保留で釈放後も通信機器は返してもらえず、約3か⽉間にわたり⼀部の⼈としか連絡が取れない状況でした。連絡がとれない理由について周りの⼈から聞かれても「誤認逮捕」とは説明しづらく、周りへの影響を考え、ごまかすことしかできない状況が続いております。

 そのほか報道を⾒るだけでも当時の状況を思い出し精神的に負担を感じているなか、弁護⼠費⽤等⾃分だけでなく家族にも⾦銭的負担の被害を受けており、逮捕されることがどれだけ影響があるのか、しっかり理解していただきたい。

 今回被害者の申し出を鵜吞みにして逮捕・勾留した点について、警察・検察・裁判官はどのように考えているのか。本件は被害者が真犯⼈へ情報を流していたことは判明していますが、このような可能性を取り調べ中に警察に説明していたにもかかわらず、なぜ徹底的に調べなかったのか。アリバイ等の調べが不⼗分であり、証拠がないにもかかわらず誤認逮捕した結果、真犯⼈だけでなく被害者も相⼿に裁判を起こさなければいけない状況を作ってしまったことが問題だと考えております。

 逮捕・勾留されたことで⾃分だけでなく家族等周りの⼈にも迷惑がかかっているにもかかわらず、具体的な被害の⾦額は確認せず刑事補償のみの対応。

 弁護⼠費⽤やそのほかの⾦銭的な被害について警察からは「国家賠償で裁判してもらうしかない」「違法な取り調べとわからなければ追加の⾦銭補償は難しい」と説明を受けました。

 なぜ今回の事件に全く関わりのない⼈が、追加でお⾦を払って当時の状況を説明し裁判を起こさないといけないのか。

 取り調べについても録⾳録画がされているわけではなく、当時勾留中に記載したメモしか頼りにできない状況でどのように違法か証明すればいいのか。

 メモについても警察はほとんど否定したうえで、「私の記憶が変わっているのではないか」と説明を受けました。真犯⼈の裁判資料(注※)にはほとんどマスキングされており、今回の事件で被害を受けたにもかかわらず事件と関わりないからと詳細を説明してもらえない状況です。

 今回の裁判を通じて⾦銭的な補償はもちろんですが、誤認逮捕に⾄った警察の取り調べ等の問題点を明らかにしてほしい。取り調べ中の私が指摘した問題だと思う⾏為について、該当の警察官・検察官に認めていただき、⼆度と同様の事件が起きないように取り調べの可視化等を進めていただきたい。


注※刑事確定訴訟記録法に基づき、検察官が謄写を認めた被告Yの刑事裁判の確定訴訟記録を指しています。


【弁護団のコメント】

 本件は、客観的な証拠を収集していれば、原告が犯⼈でないことは明⽩な事案であり、誤認逮捕は容易に防げた事案である。にもかかわらず、警察官及び検察官は、原告を犯⼈と決めつける違法な取調べを繰り返したほか、反省も再発防⽌策も不⼗分と⾔わざるを得ない。本訴を通じて、捜査の問題点を明らかにし、⼆度と同様の冤罪が繰り返されないことを求めていきたいと考えている。

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